
睡眠時無呼吸外来
睡眠時無呼吸外来
動画で概要をチェックされたい方はこちらの動画が参考になりますのでコチラを参照ください。
1時間当たりの無呼吸および低呼吸の回数をApnea Hypopnea Index(AHI)といいます。
分類 | AHI |
---|---|
正常 | AHI<5 |
軽症無呼吸症候群 | 5≦AHI<15 |
中等症無呼吸症候群 | 15≦AHI<30 |
重症無呼吸症候群 | 30≦AHI |
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が何度も止まる病気です。無呼吸・低呼吸指数(AHI)が5以上で、過度の眠気や高血圧、糖尿病、冠動脈疾患などの有意な症状や合併症が認められる場合、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
この疾患の代表的な症状は「いびき」であり、眠りが浅くなることから、日中に強い眠気や倦怠感を感じることがあります。放置すると、血管や心臓、脳に大きな負担がかかり、高血圧、狭心症、心筋梗塞、脳卒中などの重大な病気を引き起こす可能性があります。そのため、できるだけ早く診断を受け、適切な治療を開始することが重要です。
睡眠時無呼吸症候群の原因には、鼻中隔の湾曲、扁桃腺の肥大、口蓋垂(いわゆる「のどちんこ」)の肥大、顎が小さいことに対して舌が大きいこと、肥満による首周りの脂肪の蓄積、さらには口や舌の筋力低下などが挙げられます。特に左図の○で示された部位での気道の閉塞が主な問題となります。
睡眠時無呼吸症候群は、男性では30〜60代に多く見られ、女性では更年期以降に増加します。これは、閉経に伴うホルモンバランスの変化が一因と考えられています。
睡眠時無呼吸症候群があると、左図のように多くの生活習慣病、高血圧、糖尿病、不整脈、心筋梗塞(虚血性心疾患)や脳梗塞などが多くなります。その他、突然死、認知症、緑内障、逆流性食道炎、勃起機能障害との関連も指摘されています。
睡眠時無呼吸症候群は、自動車事故、新幹線のオーバーラン、原発の誤作動(スリーマイル島原子力発電事故)、スペースシャトルチャレンジャー爆発事故、エクソンバリデス号タンカー座礁事故、客船スタープリンセス号座礁事故などの重大事故にも関係していると言われています。睡眠時無呼吸症候群の方は、飲酒運転者と同程度に交通事故を起こしやすいと言われています。睡眠時無呼吸症候群は将来の認知症発症とも関係があると言われています。
就寝時
起床時
日中
これらの症状が見られることが多いですが、自覚症状がない方も少なくありません。
問診や診察で眠気の状況を調べます。問診の結果、睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、重症度や原因を判定し、治療方法を決定するための検査が必要です。まず、ご自宅でも行う簡易検査を行います。無呼吸低呼吸指数(AHI)が40以上で、明らかな睡眠時無呼吸症候群と判断された場合は、CPAP療法となります。
しかし、簡易検査の結果、判断がつかない場合は、入院で睡眠時無呼吸症候群のタイプや重症度を調べる精密検査を行います。睡眠中の呼吸状態や脳波を詳しく解析し、その後の治療方法を検討します。精密検査は、簡易検査よりも取り付けるセンサー類が多くなります。
精密検査の結果、AHIが20以上であれば、CPAP療法となります。20未満の場合は、マウスピース治療など他の治療を相談いたします。
簡易検査 | 精密検査 |
---|---|
![]() |
![]() |
重症度 | 単純性 いびき症 |
軽症から 中等症 |
中等症から 重症 |
|
---|---|---|---|---|
AHI | <5 | 5≦AHI<20 | 20≦AHI | |
CPAP | ![]() |
– | – | ◎ |
マウスピース (かかりつけ歯科に相談) |
![]() |
○ | ◎ | ○ |
手術 (手術のできる耳鼻科に相談) |
![]() |
○ | ○ | ○ |
睡眠時無呼吸症候群の治療としては、CPAP、マウスピース、手術が主な治療としてあります。◎は第一選択となる治療です。○は◎の治療が困難な場合、検討すべき治療です。中等症から重症の睡眠時無呼吸症候群ではCPAPが第一選択となります。
CPAPは、空気の陽圧で狭いところを押し上げる治療です。東京ドームの屋根が空気の陽圧によって押し上げられているように、CPAPも陽圧によって閉塞部位を押し上げ、呼吸を確保します。
睡眠時無呼吸症候群があると、高血圧、糖尿病、心血管病、生命予後の悪化、生活の質の低下、交通事故などのリスクが増加することが明らかになっています。CPAP療法は、これらのリスクの多くを改善することが期待できます。そのため、中等症以上の睡眠時無呼吸症候群では、CPAP療法が第一選択の治療となります。
使い始めやトラブル時は、マスク(必要に応じCPAP本体)を持ってきてください
実際使い始めたら、最初からうまく使いこなすのは難しいと思います。初日は30分程度マスクを装着するところから始めましょう。CPAPのスイッチを入れて圧力を感じ、苦しい場合は無理せず使用を中止してください。診療時にマスクを持参して頂けると、診療に役立ちます。医師や看護師の前でマスクを装着して頂き、マスクフィットを確認します。CPAP本体を持参して頂きたいのは、圧力調整やモード変更などが必要な場合です。特に問題がなければ、CPAP本体を持参する必要はありません。
様々な対策を試しても、CPAPを継続使用できない場合もあります。当然のことながら、CPAPが合わない方もいらっしゃいます。3ヶ月を目安に、さまざまな微調整を試みますが、それでも難しい場合はマウスピース治療など、他の治療を検討します。
1割負担 | 約1,500円 |
---|---|
2割負担 | 約2,900円 |
3割負担 | 約4,400円 |
当院では保険診療での対応をメインに行っております。2台目のCPAP希望がある、マウスピースが使用できないなど自由診療をご希望の方は、コチラにご相談ください。診断書や指示書の作成をご希望の方は当院にご相談ください。
TOP