
循環器内科(心臓病の専門医)
循環器内科(心臓病の専門医)
循環器内科では、全身に血液をめぐらせる心臓や血管の病気を専門的に診療します。狭心症・心筋梗塞、心臓弁膜症、心不全、不整脈などの心臓の病気や、動脈硬化症、動脈瘤などの血管の病気に幅広く対応しています。
循環器疾患は原因となる高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙習慣などを総合的に管理しながら治療を行うことが大切です。当院では循環器疾患の予防と早期発見、診断と治療、慢性期における再発防止など、提携医療機関との充実した医療体制のもと行っております。
気軽に相談できる“心臓と血管のかかりつけ医”としてお役に立てましたら幸いです。
心臓や血管などの病気に関して専門的な診療を行っております。
日常的に起こりやすい症状でも、詳細な検査を行うことで重大な病気の早期発見につながることもよくあります。気になることがございましたら、何でもお気軽にご相談ください。
日本高血圧学会では上の血圧である収縮期血圧(心臓が収縮した時の血圧)が140mmHg以上、または下の血圧である拡張期血圧(拡張した時の血圧)が90mmHg以上を高血圧としています。そのまま高血圧の状態にしておくと脳や心臓の血管が動脈硬化を起こし、脳卒中や心臓病、腎臓病などの重大な病気を発症する危険性が高まります。日本人の高血圧の約8〜9割が本態性高血圧(原因をひとつに定めることのできない高血圧)で、遺伝的素因(体質)や食塩の過剰摂取、肥満など様々な要因が組み合わさって発症します。中年以降にみられ、食生活を中心とした生活習慣の改善が予防・治療に非常に大切です。
以下のように個々の降圧目標を目指して血圧管理を行います(JSH2019より)。
対象 | 診察室血圧 | 家庭血圧 |
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75歳未満の成人 | 130/80mmHg未満 | 125/75mmHg未満 |
脳血管障害患者 (両側頸動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞なし) |
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冠動脈疾患患者 | ||
慢性腎臓病患者(尿蛋白陽性) | ||
糖尿病患者 | ||
抗血栓薬服用中 | ||
75歳以上の高齢者 | 140/90mmHg未満 | 135/85mmHg未満 |
脳血管障害患者 (両側頸動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞あり、または未評価) |
||
慢性腎臓病患者 (尿蛋白陰性) |
高血圧は自覚症状がほとんどありませんが、そのまま放置することにより心血管病を発症する可能性があります。将来の心血管病の予防には、適切な血圧管理が重要です。
降圧療法としての減塩では、一日6g未満が必要と言われますが、実際どれくらいの塩分を摂取しているか評価することは困難です。しかし、当院では外来の尿検査にて食塩摂取量が概算でき、それによって適正な減塩指導を行いますので、ご希望の方はご相談ください。
年齢、身長、体重、随時尿検査(ナトリウム、クレアチニン)から食塩摂取量を計算して検査結果を報告します。
例)67歳、160cm、60kg、尿中ナトリウム125、尿中クレアチニン43.5であれば推定塩分摂取量は12.3gとなります。
減塩のポイントとしては以下のようなことがあげられます。
脂質異常症とは血液中の「悪玉」と呼ばれるLDLコレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)が増えたり、「善玉」のHDLコレステロールが減ったりした状態のことをいいます。この状態を放置していると動脈硬化が起こり、ゆっくり進行し、脳梗塞や心筋梗塞といった動脈硬化性疾患をまねくリスクが高まります。
脂質異常症の発症には、過食、運動不足、肥満、喫煙、過度な飲酒、ストレスなどが関係しているといわれています。「内臓脂肪型肥満」ではLDLコレステロールや中性脂肪が多くなり、HDLコレステロールが少なくなりやすい傾向があります。
脂質異常症(高LDL血症、高中性脂肪(TG)血症、低HDL血症)は以下のように定義されます。10~12時間以上の絶食の空腹時採血にて評価します。
病態 | 基準値 |
---|---|
高LDL血症 | 140 mg/dL以上 |
高中性脂肪(TG)血症 | 150 mg/dL以上 |
低HDL血症 | 40 mg/dL未満 |
また、脂質異常症の診断基準値はスクリーニングのためのものであり、薬物療法を開始するための値ではありません。個々の患者の背景(心筋梗塞や狭心症の既往、糖尿病、慢性腎臓病、脳梗塞、末梢動脈疾患などの高リスク病態、性別、年齢、危険因子の程度)によりリスクを評価(カテゴリーを分類)し、それぞれの目標値を設定します。以下の方針に基づいて治療方針を決定いたします。
治療方針の原則 | カテゴリー | 脂質管理目標値(mg/dL) | ||
---|---|---|---|---|
LDL | HDL | TG | ||
一次予防 まずは生活習慣の改善を行い その上で薬物療法を考慮 |
低リスク | <160 | ≧40 | <150 |
中リスク | <140 | |||
高リスク | <120 | |||
二次予防 生活習慣の改善とともに 薬物療法を考慮 |
冠動脈疾患の既往 | <100 (<70*) |
※家族性高コレステロール血症、急性冠症候群の時に考慮します。糖尿病でも他の高リスク状態を合併する時にはこれに準じます。
心臓の冠動脈が動脈硬化などによって狭くなると、心筋(心臓壁を構成する筋肉)に送られる血液量が不足し、心筋が酸素不足となります。このときの痛みが狭心症の痛みです。
労作性狭心症は「階段を上ると胸が締め付けられるように痛くなる」、「重いものを持ち上げたり、坂道を歩いたりすると胸が苦しく痛む、安静にすると楽になる」という症状がみられます。痛みの特徴としては圧迫感や絞扼(こうやく)感などがあり、前胸部、みぞおち、肩、顎などに生じます。歯やのどが痛むケースもあります。痛みは多くの場合、数分までです。治療はバルーンが先端についたカテーテル(細い管)を血管内に挿入し、詰まった部分を拡げたり、際閉塞を防ぐためにステント(筒状の金網)を血管内に留置したりするインターベンション治療があります。
安静時狭心症は、夜、就寝中、明け方に胸が苦しく押さえつけられたような発作が起こります。多くの場合、冠動脈が一過性に痙攣(けいれん)を起こして収縮し、血流が一時的に途絶えるために生じると考えられています。冠攣縮性狭心症ともいいます。痛みの性質や部位などは労作性狭心症と同様です。冠動脈の攣縮(痙攣性の収縮)も、動脈硬化の進行過程にみられる現象と考えられています。冠攣縮性狭心症には、攣縮予防効果のある(血管が開く)薬物による治療を行います。
心筋梗塞とは、動脈硬化が進行して冠動脈にできていたプラーク(血液中のコレステロールや脂肪からできた粥状の物質)が冠動脈を塞いでしまい、心筋に血液が完全に行かなくなり、心筋が壊死した状態をいいます。突然、胸が焼けるように重苦しくなり、締め付けられ押しつぶされるような症状が現れます。冷や汗が出たり、吐き気があったりすることもあります。この発作は長く続き数時間に及ぶこともあります。このような場合は、至急救急車を呼んでください。治療は冠動脈内に詰まった血栓を、血栓溶解薬(tPAなど)で溶かす治療法や、バルーンが先端についたカテーテル(細い管)を血管内に挿入し、詰まった部分を拡げたり、再閉塞を防ぐためにステント(筒状の金網)を血管内に留置したりするインターベンション治療があります。また、心筋梗塞になった人は再び心筋梗塞を起こすリスクが高く、もう一度心筋梗塞を起こすと死亡率が倍増すると言われています。そのため、厳格な糖尿病、高脂血症、高血圧、喫煙などの危険因子の管理・治療や定期的な心機能検査が必要となります。
心臓弁膜症とは心臓にある弁に障害が起き、本来の機能や役割を果たせなくなった状態をいいます。大きく分けて、弁の開きが悪くなり血流の流れが妨げられる「狭窄」と、弁の閉じ方が不完全なために血流が逆流してしまう「閉鎖不全」があります。
典型的な症状は、息切れ、胸の痛みや違和感、めまい、意識を失う、疲れやすいなどがありますが、心臓弁膜症に特有なものはありません。症状があっても加齢に伴う体の変化に似ていることから見逃されがちです。検査としては、まず心臓超音波検査が有効です。
「健康診断などで心雑音が指摘された」という場合には、早めに専門医を受診しましょう。
心臓は全身に血液を送り出すポンプの働きをしていますが、心筋梗塞や心臓弁膜症、心筋炎など様々な心臓の病気によって、このポンプの働きに障害が生じ、色々な症状を引き起こしている状態をいいます。「急性心不全」と「慢性心不全」に分けられ、急性心不全は、短期間で激しい呼吸困難などの症状が現れることから、重症の場合、命を失う危険性があります。一方、慢性心不全は、ちょっとした動作でも動悸や息切れがしたり、疲れやすくなったりします。咳や痰が止まらない、むくみが出るといった症状が現れることもあります。
慢性心不全は生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病など)との関連性が高く、高齢になるほど発症する方が増えてくる傾向があります。心電図や胸部X線検査で心不全が疑わしい場合は、採血検査(BNPもしくはNT-proBNP)や心臓超音波検査が有効です。
主に足の血管に起こる動脈硬化で、末梢神経疾患とも呼ばれています。足に冷感やしびれ、歩行時に痛みを感じる、という症状があり、重症化すると手足に潰瘍ができ壊死することもあります。特に50歳以上の男性に多い傾向があり、肥満・高血圧・糖尿病・喫煙などが原因と考えられています。閉塞性動脈硬化症を発症した場合には、下肢動脈だけでなく全身の血管も動脈硬化が進んでいる可能性が高いので注意が必要です。検査はABI検査を行います。腕と足の血圧を比べ、足の血流低下の程度を確認します。通常、ABIは1以上ですが、足の血管が動脈硬化により、狭くなったり詰まったりすると、その先の血流が減少するため、足の血圧が低下し、ABIも低下します。ABIが0.9以下の場合、閉塞性動脈硬化症が疑われます。
正常な心臓は一分間に通常60-100回で一定の規則正しいリズムで動いています。このような規則正しいリズムで心臓が動くようにするために、心臓には“刺激伝導系”という電気回路が備わっています。この電気回路に問題が生じると“不整脈”という、脈の乱れが生じます。大きく分けて、脈がとぶように感じる期外収縮、脈が速くなる頻脈、脈が遅くなる徐脈の3つがあります。
不整脈は治療の必要のないものから危険なものまで様々です。不整脈は健康成人では一般的で、不整脈がありながらご自身で気付かず、身体検査などではじめて不整脈を指摘される方もいます。一方、不整脈によっては心不全や失神発作を起こしたり、脳梗塞を併発したりする危険なものもあります。不整脈を指摘されたときや脈の不整、激しい動悸を感じたときは専門医を受診しましょう。
検査としては、まず心電図での検査が重要です。健康診断でも広く使われていますが、脈の速さ、異常な不整脈の有無を発見することができます。常に不整脈が起こっているわけではなく、時々不整脈が起こることがある方の場合はホルター心電図検査が非常に有用です。より詳しい専門検査としては電気生理学的検査があります。電極のついたカテーテルを心臓へ挿入し、心臓内の電気刺激の伝わり方を記録したり、刺激を与えて不整脈を誘発し、心臓のどの部位に異常があるかを調べ、不整脈の種類を正確に診断することができます。
危険性の高い不整脈や自覚症状の強い不整脈は治療を行います。薬物治療、ペースメーカー(刺激により遅くなった脈を電気刺激で助ける)、高周波カテーテルアブレーション(異常な部分に電流を流して焼く)、植え込み型除細動器(致死的不整脈を電気ショックで停止させる)などの治療方法があります。
ふらつき・めまい・失神などの症状を引き起こす徐脈性不整脈(洞不全症候群や房室ブロックなど)では、大病院でのペースメーカーの植え込みが必要となる場合があります。手術後、症状が落ち着いた後も、半年に一度は通院して頂き、ペースメーカーの状態を定期的にチェックする必要があります。
これまで、ペースメーカー外来は主に大病院で行われてきましたが、ペースメーカーの手術やカテーテル治療に専念すべき大病院の先生方にとっては、大きな負担となっていました。
このたび当院では、メドトロニック社の植込み型心臓デバイス外来支援サービス「Focus On(フォーカス オン)」を導入いたしました。これにより、メドトロニック製のペースメーカーをお使いの方であれば、ご予約なしで簡便にペースメーカーチェックを受けて頂けます。
チェック内容としては、電池残量や電線(リード)の劣化・断線の有無、不整脈の記録に問題がないかを確認いたします。万が一異常が見つかった場合は、連携している医療機関や、手術を受けられた病院へご紹介いたします。
※近年、高齢化により、ペースメーカーをご使用中の方の通院が困難になるケースが増えてきています。当院に継続して通院されている方には、将来的に訪問によるペースメーカーチェックの実施も検討しております。また、いくつかのクリニックとは連携体制を築いておりますので、安心してご相談ください。
当院では、職場や学校で指摘された心電図や心音異常の精密検査を行います。当院では、負荷心電図検査、心臓超音波検査、ホルター心電図検査、胸部X線検査、採血検査などを行います。その結果に基づいて、学校生活管理指導表を作成いたします。高度医療が必要な場合は、疾患に応じた高度専門医療機関をご紹介いたします。
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